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さあ、今日はいよいよお待ちかねの『ミルフォード・トラック』1日ハイク。辺りがまだ真っ暗な早朝に起床し、おなじみのビュッフェスタイルの朝食を済ませてクイーンズタウンを出発、ミルフォード観光の拠点であるテアナウへと向かいます。
昨日までとは打って変わって、厚い雲が低く垂れ込め、Mt.リマーカブルも姿を望むことはできません。恨めしそうに空を見上げつつ午後からの天候の回復を願いながら、まずは6号線をワカティプ湖畔に沿ってひたすら南下します。ワカティプ湖畔で最初に入植されたキングスタウンを過ぎ、時折雨の混じる濃い霧の中をファイブリバーで94号線に入ります。さらにモスバーンを経て9時過ぎにテアナウに到着。
今夜から宿泊するホテルに立ち寄りスーツケースを預け、ミルフォード・トラック行きの船が出る『テアナウダウンズ』へと車を走らせると、道沿いには『マヌカ』の木々が群落を作っており、細かな白い花を咲かせています。NZのほぼ全域に自生するマヌカは、キャプテン・クックが航海中のビタミンC不足による壊血病予防の為に、ビタミンCを豊富に含むこの木の葉でお茶をつくったことに由来して、別名『ティーツリー』とも呼ばれています。
また、現在ではこのマヌカの花から取れる蜂蜜がその様々な薬効から、お茶に変わって良薬として人気を集めています。日本の蜂蜜に比べとても濃厚で、それでいて実にさっぱりとした味わいで、スーパーに行けば色々な種類が売られておりNZ土産としてはお勧めの逸品です。
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| いざ
出航! |
テアナウ・ダウンズの駐車場で身支度を整え、船着場で待つ双胴船に乗り込むと程なく船は出港し、約1時間半程かけてトレイルヘッドのグレイド・ウォーフへと水面を進みます。途中、ミルフォード・トラックに縁が深い、溺死したMr.マッキノンを偲んで白い十字架が立てられたドット・アイランド等、要所々々ではスピードを落とし、船内放送で説明(無論、英語です)が流れます。
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「マッキノン卿よ安らかに」
「ドット・アイランド」 |
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| 「グレイドウォーフ」が見えてきました |
そんな意味不明(聞き取れないだけですが)の説明に耳を傾けたり、デッキに上がって、回りに広がる手付かずの風景を眺めたりしながら、やがて船はミルフォード・トラックに沿って流れる清流『クリントン・リバー』の河口に作られた桟橋に着岸。ここからがいよいよ『天使の散歩道』の始まりです。
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| いよいよミルフォードトラックへ! |
この『ミルフォード・トラック』は全行程54キロ・標高差1,146mを3泊4日かけて歩く、別名「天使の散歩道」とも言われるNZが世界に誇る人気のトレッキングコースで、鬱蒼とした原生林や氷河圏谷の大パノラマ、また美しい川や滝が点在するさまざまな要素が濃密に詰め込まれた素晴らしいトレイルです。トレイルヘッドとなる『グレイド・ウォーフ』もトレイルエンドの『サンドフライ・ポイント』も、ともに船での出入りに限られ、NZのトレッキングコースの中では特に厳しい入山制限がとられています。
現在『ミルフォードトラック』を歩く登山者は、DOC(環境保護省)で入山許可を取るか、MTGW(ミルフォード・トラック・ガイディド・ウォーク)社の運営するガイド付のツアーに参加するか、または、ガイド付の日帰りハイキングを楽しむかに大別されます。全行程においてキャンプ泊は禁止されており、個人で歩く場合はDOC管理の3つの無人小屋を使用し、MTGW社のガイドウォークの場合は、同社が運営する至れり尽せりのベッド・シャワー・三食付きロッジに宿泊します。そういうわけで、『ミルフォード・トラック』を歩く人の数は、双方の小屋の定員+ガイド付き日帰りハイカーに限られるわけです。
船を降りるとまずは幅3〜4mの林道のような広い道がクリントン・リバーに沿って続きます。道はそのままほぼ真っ直ぐに1Km先のMTGW社のグレイド・ハウスまで伸びていますが、今回我々は途中から右手に入り、100m程標高を上げた沢の出合でちょっと早めのランチタイム。朝の内に空を覆っていた雲も次第に薄くなり、時折青空が顔を覗かせるようになってきました。
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| イースター・オーキッド |
心地よい沢音をBGMにお腹を満たししばし休息の後、クリントン・ハット(小屋)を目指して出発です。再び、右岸の樹林の中へと分け入ると、入口でラン科の『イースター・オーキッド』が出迎えてくれました。この『イースター・オーキッド』は樹に着生し、イースター(復活祭)の頃に淡い白色の花を咲かせるランの一種で、辺りにかぐわしい香りを振りまいています。
奥へ進むにつれてさらに樹木の密度は増し、大小さまざまな木々が鬱蒼とした樹林を形成しています。周りの梢をロビン(コマドリ)やファンテイル等の人懐っこい小鳥たちが飛び交い、NZが鳥達の楽園であることを実感できます。 |
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| 「クリントンリバー」に架かる吊り橋 |
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ミルフォードトラックでも
吊り橋を渡ります |
深い樹林の中を右に左に進み、周りの木々が次第に低くなると、程なくしてグレイド・ハウスの裏手の草原に飛び出します。この草地を横切り大きな吊橋を渡ると、道はいよいよ幅1m程の本格的なトレイルとなってきます。
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| 原生林の中の散歩道 |
ただ、今回歩いている1日コースとミルフォード・トラック最終日のコースは2日目や3日目と違い、ほとんど高低差の無い川沿いの行程で、足元の細かな砂に足を取られることを除けば(砂浜を歩いているよう)、快適なお散歩コースといった感じで特別厳しい道ではありません。しかしこのミルフォードを含むサザンアルプス周辺の多雨林地帯は、ひとたび大雨が降ると、降った雨が周りの山々からU字谷の底に位置する川へと直接流れ込み、割と頻繁に氾濫するそうで、実際2週間ほど前にも氾濫して土手が削れ、大木がなぎ倒されたり道が付け替えられている箇所がありました。
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| 巨大な赤ブナ |
その時ミルフォードを歩いていた人たちは川が増水する中、腰まで水に浸かりながら歩いたそうです。そんな洪水の爪痕を尻目に、右手に川左手にブナの森を見ながら橋から5〜600m程進むと、クレイグが一行を森の中へと誘います。本道から逸れてしばらく進むと、巨大な赤ブナの元に出ました。目通りで周囲が10mもある巨木に一同、感嘆の声をあげます。はたしてこの地でどれだけの時間を刻んできたことか!気の遠くなるような時間の流れに思いを馳せながら、ふたたび本道に戻りさらに進みます。
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| 澄みわたったクリントンリバーの流れ |
川の中を覗き込んでニジマスを探したり、往復20分ほどの森の奥にぽっかりと開けた『ザ・ウェットランド』(湿原の意)への散策を楽しんだりしながら、クリントン・リバーの支流、『ニール・バーン』の出合を過ぎるとすぐに左手に脇道が現れ、この脇道を進むと林の中に建つ『クリントン・ハット』に到着!この小屋はDOCが管理するインディペンデット・ウォーカー(個人ハイカー)の為の1日目の宿泊施設で、定員40名(ベッドのみ)の宿泊棟と、ガスバーナーと水道のみの炊事棟、トイレとシーズン中のみDOCのスタッフが常駐する管理棟があり、今回の日帰りハイクコースもここで折り返しとなります。
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森の中にぽっかり開けた
「ザ・ウェット・ランド」 |
クレイグがガイド仲間の女性ガイドとともに入れてくれたアフタヌーンティーでしばしの「ティーブレイク」を楽しみ、帰りの船の時間に遅れないようにだけ注意しながら、おのおの自分のペースで散策を楽しみつつ船着場へと向かいます。帰り道、前後を行ったり来たりせわしなく飛び回るロビン(コマドリ)にふと足をとめると、なんとこいつ、靴の上に乗っかって靴を突っつき始めました。なんとも愛嬌のあるやつだと思っていたのですが、後で聞くところによると、このロビン等の小鳥たちは、ハイカーが足元で巻き上げた砂の中にいる虫を食べる為に、後をついて回るのだそうで、この時もちゃっかりとお食事中だったようです。
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| 靴をつっつく「ロビン」 |
そんなこんなで、吊橋を渡り、ディナーの準備が進むグレイド・ハウスの前を横切って船着場へと急ぎます。この頃になるとまたまた雲が厚くなり始め、我々が船着場に着くとほぼ同時にぽつぽつと雨が落ちはじめましたが、何とか今日も雨具を使わずに済みました。全員揃ったところで船に乗り込み、テアナウ・ダウンズへと出航!次第に本降りとなってきましたが、これまた船が着く頃には上がり、傘を差す必要すらありませんでした。その後、車に戻ってテアナウへと帰りホテルへ。
ここテアナウでの宿泊は、日本の皇太子殿下が来訪のおりにご宿泊されたという、『テ・アナウ ホテル&ヴィラ』。テアナウ湖畔のメインストリートに面した閑静な造りで、落ち着いた雰囲気のホテルです。部屋に入って一息ついた後、ボリュームたっぷりの夕食をペロリと平らげ、夕食後はオプショナルツアーの『土ボタル観賞ツアー』を楽しんで本日も何事も無く、全行程を終え眠りに着きました。 |